加害者遺族というあまりフォーカスの当たらない人々の話。
是枝監督作品の中で、結構お気に入り。
Distance。距離。確かにこの物語の中には、精神的な距離や肉体的な距離を考えさせられる描写が多かった。最初は少し退屈な部分もあるけど、題材が強力なだけに事の顛末を知るまで、自然と画面を注視してしまうので、そこは問題なかった。物語の構成も好みだし、最後にはっきりと明示しない、解釈の幅のある謎を残していくあたりも良いね。
俳優たちは、自分のセリフだけしか知らされていないらしい。凄いな、そういう役者側に委ねて映画を作ることもできるのかと学んだ。カメラワークも、幻の光の定点多めとは打って変わって、すごく臨場感があった。自分も現場で目撃しているかのような感覚。足場の悪さで映像がブレたり、セリフ忘れを疑うような不思議な会話の間があったり、他の上映作品に見られないインディペンデント感があって好きだった。
