Yuya

DISTANCE/ディスタンスのYuyaのレビュー・感想・評価

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)
4.3
“家族”という言葉や その集合体の中における
残酷な結末が あまりにも生々しい衝撃作

オウム真理教をモデルにしたカルト教団の凶行を基に
加害者遺族の集いという 死角の視点で映しとる 現代家族の脆弱性

事件が起こる都度 聞こえてくる“普通の家庭だった”の声
道を踏み外した者達 孤独に生きる人々もまた
“こんなはずでは…”と口を揃えているはず

ここで描かれる親子 兄弟 夫婦も同様に
どこにでもある あまりに普通の光景の中に生きている…はずだった
しかし ほんの一瞬 たった僅かな掛け違いの中で
大きな溝や距離を築いてしまってるんだなぁ

時にそれは 日常の些細な苛立ちから生まれ
また時には 高過ぎる理想が蝕んでゆくことも
でもやっぱ そうゆう時に視野を拡げるか 狭めるか で事の顛末を大きく左右される気がしてならない
大概 間違いを犯す人間って 自分のやりたい事以外目に入らず それが正しいって妄信してる人間だよなぁ
いわば 絶対に自分を諦められないタイプね
例えば 周囲の人間の感情や あるいは過去や未来 そうゆうものを見ないフリして
瞬間の明るさのみに憧れて どんどん前に進んでは いつもただ堕ちてゆく人って 結構いると思うし 全ては普通の中で起きる出来事なんだよね…

ラストシーンが想像させる 謎の男の正体が すんごく粘り気のある後味を残すけど
家族が 家族である為に 直視しなければならない心中や 受け入れなければならない現実の厳しさを より引き立てていたなぁ
Yuya

Yuya