そ、たとえひとりで希望を見出せなくなっても、ひとから分けてもらったり一緒に育んだりすることはできる。ずーっと不幸が続くのだけど、最後のシーンはまさにあかりが灯るようにあたたかい気持ちになった。
敗者三部作の三作目。主人公のコイスティネンは、負け犬の目をしている。煙草を吸いながら、いつも空(くう)を見つめているような男。夜間警備員として淡々とした日々を過ごす。職場では馴染めず、恋愛もうまくいかず、自分に向けられた好意にも気づかない。しまいには、窃盗の濡れ衣を着せられ手錠をかけられる...。
さんざんな展開。けど、イライラしたり距離を置きたくなったりはしない。ここがアキ・カウリスマキのすごいところだと思う。主人公をいじらしく表現するのだ(なんかかわいい、と思わせてくる)。そこには、お得意のゆるーい笑いや音楽、インテリアも一役買っている。
つまるところ、めちゃくちゃいい。大人数の飲み会でおしぼりを触りがちなひとに観てほしい(要するに、隠キャ向け)。