星一

ナイト・オン・ザ・プラネットの星一のレビュー・感想・評価

3.9
 様々な国のタクシードライバーと乗客たちが、車内という狭い空間の中で広げられる5つのストーリーにはどれも惹きつけられる色があってすごく面白かった。

 この映画は、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ロンドン、ヘルシンキ、と五つの街でそれぞれ働くタクシードライバーとその乗客との車内の会話で構成されている。いわゆるオムニバス映画です。

 5つの街で働いていれば、当然、タクシードライバーと乗客、どちらもそれぞれ持っている状況は違うし、それぞれ持っている生き方も違う。この話を通して唯一同じなのは、時間とタクシーの車内という状況だけ。

 だからこそ、この映画を見ていて強く感じるのは出会いだと思う。

 たまたま、タクシードライバーと出会って、そいつは口は悪いけど魅力的だったり、逆に猥談と自分の話しかしなくて、気の使えないやつだったり・・・。

 良い悪いあれど、この映画はこの出会いという部分を面白く描いていると思いました。

 また、その出会いがあってコミュニケーションを取るからこそ、その人の生き方や状況も見えてくる。世間から見れば大きな仕事でも、自分の行くべき道の方が大切だったり、友達の不幸よりもより不幸な出来事を聞いて、大したことないと思っても、友達本人からしたら、今が何よりも不幸だったりと。

 誰もが寝静まった夜だからこそ、吐き出されるものもあるし、そんな夜に働いている人もたくさんいる。

 この映画は笑いも交えて、この中のキャラクターたちは生きているなと本当に思う。だからこそ、楽しんでみれたと思います。

 キャラクターが本当、憎めない奴ばっかでいい!。

 監督のジム・ジャームッシュの映画は二作ほどみていますが、やっぱりこの人の映画は好きだなと思います。コーヒー&シガレッツがお好きな方なら楽しめると思います。
星一

星一