Melko

お受験のMelkoのレビュー・感想・評価

お受験(1999年製作の映画)
3.7
「まず、お父様から伺います。ご職業は?」
「…無職です」

江ノ電に追われる、永ちゃん(パワーワード)

ん〜〜レビューで低評価つけてる人の言いたいこともわかる。
けど、これはなかなかの掘り出し物だと思うんだよなあ。

冨樫真澄は、健美食品というメーカーに勤めるサラリーマン。実業団マラソンチームで走るランナーでもある。スポーツ特待とゆうか、いわゆる足の速さで会社に入った人物。
妻は、一人娘まゆみの私立小学校受験に必死。両親と子どもが一緒に面接を受けるので、家族で取り組まなければならないイベント。慣れない受け答えに、気乗りしない真澄。そんな時、出向先の会社が倒産、真澄は無職になってしまう…

熾烈なお受験戦争も、娘のまゆみが地頭が良いことで全く苦労してないし(前半、家での特訓が全然上手くいかなかったのは、やりがいを見出せなかったからっぽい)
真澄が無職になり主夫をするのも、元々料理がうまく家事もこなせたのか、すんなり行ってるし、
リストラのゴタゴタもいつの間にか真澄の中で消化してるし
マラソンの仲間たちも最初と途中と最後の決まったところしか出てこないし、
最大のテーマでもあった、受験/マラソンの2択も、まさかのウルトラC的やり方で収めてしまったし、
描かれてる全ての要素が中途半端で、ふぅん…という感想しか出てこないんだけど、
何よりもこの作品は役者の演技が全てなのだと思った。

要所要所で演技が突然クサくなる永ちゃんだけど、コメディするところとしんみりするところはしっかり緩急ついてたし、全体的には良い演技をしていたと思う。
無職でやることなくなって、献血に行き、「人の役に立つって良いなぁ。明日も来ようかなぁ…!」なんて目を輝かせながら言うところなんて、「何バカ言ってんの笑」ってツッコみたくなる。笑
それに何より、めっっちゃくちゃ走ってます、この映画では。もうそれこそ死に物狂いで走る永ちゃんが見れます。(それ目当てに見る人いるのか?)
「中高年の希望」なんて劇中では言われてたけど、まさにそう。アラフォー/アラフィフの男性は何か感じるものがあるのかも。自分が夢中になれることと、家族の(子どもの)幸せという天秤。いやもちろん子どもの幸せでしょ、って思う親は多いだろう。でも、親が夢中になってるところを見て、子どもが何かを感じる時もあるもんです。それと子どもを天秤にかけ、子どもが満面の笑顔になり、うちの親はすごい!と胸を張れるのが、あのウルトラCの結果なのかなと。
永ちゃんの年齢に対して娘が幼すぎる気もするけど、まぁ、いいか。
田中裕子はホントにこうゆうオトボケキャラが上手い。面接であまりの事態にオナラしちゃってからの、目をパキらせながらの独壇場は、怖い笑

西村まさ彦、毒舌の持ち味活かしてた
短い出番だけど、哀愁あるのよ大杉漣
でんでんが出てくると謎の緊張感
そこで木下ほうか笑
もたいまさこと岸辺一徳のコンビは反則。笑
キャストの無駄遣いとも取れる、あんな人やこんな人大集合
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