半兵衛

影を斬るの半兵衛のレビュー・感想・評価

影を斬る(1963年製作の映画)
3.8
悲劇的な人物像を得意とする一方で、喜劇では他の役者とは違う気負わず飄々とした春風駘蕩という言葉がよく似合う演技を得意とする市川雷蔵の個性がよく出た一作。

やる気はないが周囲の人とそれなりに上手くやっている主人公のキャラクターがぴったりで、周りのキャラクターの大半も相まって現代への風刺劇みたいな内容に。でもベテラン小国英雄のカリカチュアしながらも時代劇の基礎を押さえた脚本や大映スタッフの本格的な時代劇技術によりこの手の現代を批判した時代劇にありがちなわざとらしさの無いナチュラルな仕上がりになっていて最後まで楽しめる。

ダメ男扱いされそうになった雷蔵が何だかんだで挽回するラストにほっと胸を撫で下ろす、そしてそれまで特に自分の意見を言わなかった雷蔵の家臣・藤原釜足が締めるのが粋。「わかってねえなあ、お爺ちゃん」
半兵衛

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