ガルベス

近頃なぜかチャールストンのガルベスのレビュー・感想・評価

近頃なぜかチャールストン(1981年製作の映画)
3.9
岡本喜八監督による全編モノクロのATG作品。

性的欲求に絡め取られ通報を受け留置所に入った若者が、老人ばかりの集団と居合わせることに。
彼等はミニマムな独立国家を立ち上げていて、総理大臣や官房長官、文部大臣など役職で呼び合っているのだが、実態はかつて文房具屋、郵便局員、呉服屋の旦那、はぐれ物といった市井の人間達。

国会議事堂の食堂で無銭飲食したり、アパートの空き家に勝手に住み込んだのに大家の立ち退きの要求に毅然と主張したり、取り締まる側の刑事がなぜか仲間になったりと軽妙でコミカルな作風がクセになる。

しかし通底しているのは、国民を駒のように扱いどん底に陥れた国家に対する不信感で、軽さの中に政治意識が横溢。

小沢栄太郎、殿山泰司、岸田森、田中邦衛など海千山千の面子の嬉々とした演技が最大の見どころ。
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