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金正日花/キムジョンギリアの科のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

序盤、この演出は果たして…と思いながら始まった
結果的にそこにツッコミを入れながらではないと観続けられないくらい内容が重くガツンとくるので、ちぐはぐさに助けられた。終盤でそのちぐはぐさが、北朝鮮の映像とマッチしてるとわかるとそこでまた考えさせられる

北朝鮮で暮らす人々の中でも、富裕層・貧困層、男女、キャリアなどの違いで脱北の方法だったりその後の人生が変わってくることに驚いた

性奴隷として売買された女性、生まれた国を恨むことに対する複雑な感情に涙(これまでに数え切れないくらい流してきたであろう涙)を流す女性の姿と、金正日が亡くなったら、明日にでも北朝鮮に帰ると語る男性の対比、他にもピアノ奏者の男性、歌手を目指していた女性の対比が見ていてとても苦しかった

金正日の存在の大きさ、金正日後の北朝鮮を想像して楽観的にならざるを得ない状況とそこに対して映画の制作側が意見を押し付けてこない演出がかなり良かった。遠くない未来、この終わり方を違う見方で見られる時が来ますようにと願う

一つ疑問だったのは、プロパガンダ映像を流す媒体はキャンプに設置されていたのかということ

日本のあり方を考える上でも大事な題材であるし、今見ることにとても意味がある作品
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