あしからず

ウェンディ&ルーシーのあしからずのレビュー・感想・評価

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)
4.0
家と職を得るために家と職が必要という社会のパラドックスとヒューマニズムの入る余地のないルール(規則は勿論必要)は躓いた人間を拒み、傷が乾く隙も与えない。ロードどころか職なし家なしその上車も犬も失ったウェンディ。それに呼応する保健所のワンちゃん横ドリーはシンプルに辛いけど絶望的な状況下で警備員が無償の存在として彼女の一時の借宿となる。
拘置所や故障車など社会と彼女を隔てる境界線として機能する柵が、やがて旅立ちを後押しする展開に心ギュッとした。
ライカート作品で一貫して描かれる旅の停滞と再出発。リアリストながら希望を捨てない姿勢に憧憬の念。
社会に拒絶される不審者を生み出したのもまたこの社会。決してアメリカだけの問題ではない
あしからず

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