ベイビー

ウェンディ&ルーシーのベイビーのレビュー・感想・評価

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)
4.3
なんという地味なお話。そして独特な物語の切り口。これぞケリー・ライカート監督の真骨頂と言える見事な作品でした。

ほぼ一文なしのウェンディが愛犬ルーシーを連れ、仕事を求めてアラスカへ向かうというお話。あらすじからして一見ロードムービーかと思いきや、物語が進んで行くうちに実はそうでないことに気付かされます。

この作品を一言で例えれば「ウェンディの不安」といったところでしょうか。冒頭の夜にヒッピーと思われる集団と出くわした時に見せるウェンディの怯えた表情は、この作品の全てを物語っているように感じられます。

アメリカの見えざる貧困問題
崖っぷちを彷徨うウェンディの不安

この作品はウェンディの心情がつぶさに描かれ、それを余すとこなく見事に伝えきる演出は素晴らしいの一言(僕の細かい感想はコメント欄へ入れておきます)。

色んな作品を観れば観るほど好きになっていく監督さん。主演のミシェル・ウィリアムズも「オールド・ジョイ」を観て監督に惚れ込み、ケリー・ライカート監督に直談判をして、幾度のアプローチの結果この作品の主演を射止めたんですよね。結局今作含めて4作品もタッグを組んでいるのですから、もう相思相愛じゃないですか。

ウェンディ役はもうミシェル・ウィリアムズしか考えられないくらいのハマり役。自分を売り込みに行っただけあって、さすがの演技でした。
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