寝木裕和

ウェンディ&ルーシーの寝木裕和のレビュー・感想・評価

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)
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ウェンディには家族関係のこと、経済面のこと、… いろいろ事情がありそうだし、スーパーの店員、警備員、車修理工場の社長、その誰も、悪いわけじゃない。

ウェンディのことを気にかけてくれる警備員が、別れのときに「黙って取っといてくれ」と言って渡すお金。
その額の小ささに、思わず吹き出してしまったのだけど。
すぐに気づいた。
いや、これ、笑えない。
そういうことなんだ、偏った資本主義にまかせてかつては栄えた場所は、どこでも。

そう考えるとあの年老いた警備員の気遣いにぐっとくる。

ラスト、姉妹同然… いやそれ以上の繋がりのルーシーと別れるとき、遠くで汽笛が鳴る。
まるで身を切られるほど切ないバラードのように。
寝木裕和

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