真鍋新一

銃弾の嵐の真鍋新一のレビュー・感想・評価

銃弾の嵐(1962年製作の映画)
2.7
ただ風景が気に入ったからという理由だけで街に流れ着いてくるジョー。ジョーがそう言うんだからそうなのだ。しかし生まれながらのトラブルメーカーであるジョーが行くところ、まともな街はひとつもない。

いつもはバーのカウンターからほぼ出ることのない楠侑子が、違法カジノの雇われママと見せかけて峰不二子っぽい活躍をしてくれるのがうれしい。いつもは白木マリがやっているダンスシーンにも挑戦していてそこは見どころの一つ。ヒロインの笹森礼子が教会で暮らしている設定は良いのだが、いまひとつ活かしきれていない。流れ着いたジョーを迎え入れるのも上野山功一ひとりだけというのも少し寂しい。

キャバレーで主人公がチンピラをブン殴っていたら、後ろの階段から金子信雄が偉そうに降りてくる。何十回見たかわからないシチュエーションすぎて笑ってしまった。今回はさらにその上のボスに芦田伸介がいて、ジョーが信雄を焚き付けて内輪揉めをさせる展開はさすがジョーにしかできない立ち回りで良かった。

などと細かく書いていたらなんだか面白そうに思えるかもしれないが、日活アクションの水準で言えば中の下くらいと言わざるを得ない。小高雄二のライバルキャラも、アキラ主演作におけるジョーのポジションになんとか収めまろうとしてかえって空回りしてしまっている。

細かく検証していないが、序盤に登場する荒れ果てたキャバレーのセットはアキラの主演作で彼がメチャクチャに暴れたセットを使い回しているのではないか?

そもそもあまりこれまで観る機会のなかった作品なのでそれだけである程度の価値がついてしまっている。毎週新作が公開されていた当時のムードを想像しながら勢いで楽しむ映画。
真鍋新一

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