空海花

ヤコペッティのさらばアフリカの空海花のレビュー・感想・評価

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モンド映画の先駆者
グァルティエロ・ヤコペッティ作品。
ヤコペッティ、昔、死ぬまでに1度は観ようと思ったことがあって…
すると没後10周年HDニューマスター版が
未体験ゾーンの映画たちで上映。
U-NEXT期間限定で配信レンタルも来てもうた(笑)
意を決して鑑賞!
(後から見たらアマプラにもう少し安くレンタルありました。同じ版とは思いますが、観る方は確認してお選びください)


狂気と暴動が支配する1960年代のアフリカ大陸を、3年にわたり記録した衝撃のドキュメンタリー。138分完全版。

“古いアフリカはもう存在しない”
という文言から始まる
ドキュメンタリー的な長い字幕から始まる。

この時期アフリカはヨーロッパの白人支配から脱却して独立ラッシュの只中にあり、映画はその場景を映し出す。
ケニアの植民地支配の最終日。
解放された喜びももちろんあるが
まず描かれるのは、抑えつけから噴き出したある種の破壊行為や混乱。
「民主主義に慣れていない」
というナレーションが耳
(字幕だから眼か)に残る。
配布されるものも平等に行き渡るということが今までなかったから、殺到するという訳だ。

草原に駆ける馬と犬の姿を見つけて嬉しくなるも(いっぱいのビーグル犬?)
追い立てられるのは狐に見立てられた黒人(子供かも)

惨憺たる光景と
平然と入れ替わる舞台。
更に合間に急にアフリカ大地の
広大な自然の景色が入って圧倒され、
心は掻き乱されっぱなし。
豊かな緑に大草原、
夕焼けは残る陽の赤と夜の影のストライプ。掛け値なしの美しさ。
それに合わせた劇伴もやたらに響く。
動物の動きに合わせた音が…
でもこの画面の交錯はモンド映画の手法なのだと後で知った。

「アフリカ人に元々あった狩猟の歴史」と言って、動物の乱獲的な狩りの場面も。
そしてこれも序の口と言わんばかり
人と人との争いが映し出される。

歴史的な事柄としては

コンゴの内戦
アンゴラ独立戦争
ザンジバル革命でのアラブ人の虐殺
その余波マウマウダンの乱(ケニア)
ダルエスサラームの
ルワンダに対するフツ族の暴力
スタンレーベルではツチ、コンゴ民主共和国の戦いのその後など。
「どこも事態を収拾しない」

南アフリカ・ケープタウンで跳ねる水着女子。
ヨハネスブルグ、金の町。
国立公園の表と裏。

やらせとか疑惑など言われているのは知っていて、正直ちょっと舐めていた。
妙なところは少しは気付いたけれど
そんなのどうでも良くなるくらい
途中からはもう無心にならないと見続けられなさそうな画面。

あとはもう喜望峰のペンギンを茫洋と見つめるだけ。。🐧

人間の残酷さを赤裸々に描くという目的は果たされているだろう。
人間がもっとも残酷な生き物だということを思い知らされる。
ある種貴重な映像資料と私は受け取った。


ヤコペッティは元々は芸能記者で、
その後は夜もののドキュメンタリーなどを製作していたとのこと。
そのノウハウを生かして『世界残酷物語』を製作。
写真は驚くくらい妖しい二枚目。
『続世界残酷物語』まではヒットしたものの、本作は興行的には惨敗している。
ただ作品としては評価されていて、
イタリアのオスカーダヴィッド・ディ・ドナテルロ賞で最優秀作品賞を受賞。
それで本作から観ようと思ったのですが…
今回はこの1本で止めておきます。
無心になったので私採点不能φ(.. )


2021レビュー#078
2021鑑賞No.125


おかげでグロ耐性が上がったかもしれません😂
でも、ホラーのそれとこういうのって違うから、どうかな😅

【追記】
自己規制のPG12(昔はレイティングがない)12はムリだと思うなぁ…😭
空海花

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