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パリ、テキサスのmitzのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.0
ヴィム・ヴェンダース監督の代表作。テキサス州にあるパリという町を目指す男のロードムービーです。
四年余り失踪していたトラヴィスが見つかり引き取る弟家族。そこで息子ハンターと再会し、少しずつ解氷するまでの過程。そして別れた妻ジェーンを探しに2人でヒューストンへと旅立つまで、比較的ありふれたストーリーです。
しかし物語後半まで「なぜトラヴィスは放浪の旅に出たのか?」という理由が一切語られません。それがほぼラストシーンに近いジェーンとの対話で全てが明かされ、それまでの様々な伏線に対して溜飲が下がります。またトラヴィスがパリを目指していた理由も独特で味わい深いです。
その演出も回想シーンを一切使わず常に現在軸を進行し、ただ会話の中、しかも特殊な理由によりほぼ独り言の中、で2人しか知らない過去を知る文学的な手段も哀愁があります。
ナスターシャ・キンスキーの美しさも含め素晴らしい作品です。
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