井出

パリ、テキサスの井出のネタバレレビュー・内容・結末

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

信号のないハイウェイをただただ突き進むような映画。でも、突き進みたくなる理由があるんだよな。ただ黙ってどこかへ歩き続けた方がよっぽど楽だと思う時があんのさ。きっと歩き続けても、失ったものをまた取り返そうと思うんだろうな。そんな説得力が、この映画にはあった。まあ歩き続ける覚悟もないけど。
気を静める青と、穏やかな緑と、中立な黄色と、鮮烈で情熱的な赤。ドライブの色調にもそっていて、だから終始、ロードムービーな雰囲気なのかな。
奥さんと子供はアメリカの象徴なのかな、近づきたくて近づきたくない存在。子供はアメリカ文化に染まっている。「安全地帯」はないのに。マジックミラーも象徴的。主人公は、ドイツそのものなのではないかとも思えてくる。
涙をしっかり撮らないところとか、2人の帰り道とか、トランシーバーのやりとりとか、好きだと思った。いたって自然で常になんか心地よい。全てを忘れて、適当にBGM(いい音楽だった)をかけて、ドライブするように。現代人の救いになりうる映画だと思う。
井出

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