ベビーパウダー山崎

悪の愉しさのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

悪の愉しさ(1954年製作の映画)
3.5
旧友を殺してまで手に入れた金でどうにかヤッた(愛した)女から送られてくるのが新約聖書。愛は寛容にして慈悲あり。連れ込み旅館で性欲が流れてイッたあと悪夢にうなされ、賢者モードで己の罪を後悔した感じがとてもリアル。不徳と保身を倫理の天秤にかければ、久我美子も杉葉子も森雅之も善人とは言い難く、口先だけで飄々と欲望には忠実な伊藤久哉が悪事に正直すぎる。大抵の人間はなぜ生きるのかどうして死ぬのかが分からず(考えようともせず)人生を終える、千葉泰樹、作品によってはえらく冷めた視点から「映画」を撮っていて底知れない恐ろしさがある。森雅之演じる不動産社長が今でも六本木のクラブで遊んでいそうなチャラい感じで大変良かった。