佐藤克巳

春泥尼の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

春泥尼(1958年製作の映画)
3.5
日活お馴染み今東光原作の尼僧物で、色気は今ひとつと思いきや中々艶っぽい。また、尼寺の世界はまるで大奥に似たりといった感じだが、「絵島生島」に比べ厳格さにおいては甘さが残る結末となってしまったものの、阿部豊監督は上質の作品に仕上げた。河内の水呑百姓の娘筑波久子が、次期門跡で位の高い左幸子と尼僧学校同級生で優遇され付き人に引き立てられたが、岡田真澄との間に子を宿し還俗後流産すると再び寺に保護される。しかし、悲劇はむしろ左で未経験のまま門跡という最高位に就いてしまった事だろうし、好奇心旺盛でうぶなその左が、岡田に誘惑され眼を爛々と輝かせ接吻を受け入れたシーンは流石と唸ってしまった。
佐藤克巳

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