南無阿弥陀

春泥尼の南無阿弥陀のレビュー・感想・評価

春泥尼(1958年製作の映画)
3.8
これは…かなり好きな…話だった。
世間知らずな10代の尼さんたちが、京都の若き経営者尼フェチプレイボーイにただただ弄ばれるだけかと思いきや、シスターフッドの気配すらある。
春鏡尼のお嬢様ゆえ世間知らずながらも好奇心もあり聡明で根本を御仏に捧げた自分の立場をわかっている少女も良き。
春泥尼の貧困の農民であるが故の世間知らずに、自分の人生を他人に委ねてしまい自信を窮地に追いやってしまう少女も良き…
尼という立場ゆえに少女たちは平沼(男)にとって自分のものになりえない存在。その尼という立場を利用しながら少女を籠絡させる尼フェチの男の気色の悪いこと…これもまたいとをかしだよ、まったく。

春鏡の懐の広さ、寛大さ…これが慈悲っていうんでしょうか。
最後に打ち明けた春泥に言った言葉は、今まで男の人にかけてもらった甘い言葉よりも髄まで染み渡っているだろうな。

色恋には終わりがあって儚い物だが、自己の成長や信仰心には終わりがなく、そしていつでも変わることができる。もちろんいい意味で。
修行を終え!寺に帰ってきた暁には、泥の中から美しく咲く蓮のように成長し春鏡尼の元で身を捧げるのだろうな。
南無阿弥陀

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