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かげろう絵図のotomisanのレビュー・感想・評価

かげろう絵図(1959年製作の映画)
3.4
 雷さまがさっぱり出てこない。出て来ても話の本筋に中々噛んでこない。消息不明な人々を探偵するサスペンス・パートは結構だし、志村先生と酒盛りして油を売ってるのもおもしろい。ただそればかりでは人気も出まい。そのせいか、結末は続編にて、とお預けにしたのに、その続編が作られていない。
 どうなってると考えたが、話の後半では大御所家斉が死んで、世継ぎ問題をめぐる滝沢対実権派の城内抗争劇に傾くと雷さまの出番はますますなくなるわけで、なおさらな不人気必至と、作る気が失せてしまったものか。うっかり雷さまにあやかろうとして滝沢大悪党の陰謀物語りを扱い損ねた所以である。
 いっそ原作通り、悪の花盛りからあっけなく散るまでを、どうせなら悪党滝沢を黒々と浮かび上がらせればよかった。それでも売れはしないだろうが息長く評価されるものになったんじゃないか?
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