ぺむぺる

ペット・セメタリー2のぺむぺるのレビュー・感想・評価

ペット・セメタリー2(1992年製作の映画)
2.0
死者はまだまだ動き出す。母親を亡くした事件で心に傷を負った少年が、彼の地の呪われた力に魅了されていく。キングが脚本はおろか原作からも降りてしまったという、逆お墨付きの落書きホラー。とはいえ、前作から一歩も二歩も進んだB級表現はケレン味たっぷりでキッチュな魅力に溢れている。

前作の〈悲しい恐怖〉を期待して見ると、かなりナンジャコリャな作品である。動機は所詮少年の浅はかさであり、展開も実に場当たり的。人間の愚かさやその切なさといった物語の芯が著しく欠如しているため、肝心の恐怖に奥行きをまるで感じられないのだ。そうして復活する死者は、結局のところただのゾンビになってしまっている。

説明や情緒は一切不要と言わんばかりに、ホイホイと景気良くゾンビ化していく死者たち。このケレン味を愛せるかどうかで、作品の評価は違ってくるだろう。ムダにセクシーな女性陣、脈絡のないグロシーン、最高にノレないBGM、苦笑しか起こらないラストカット…、すべてのファクターが全力で陳腐を推してくる本作は、名作の解釈としてはかなりお粗末であるものの、むしろそうした歪さを楽しむ作品といえるのかもしれない。

ただ、稀代の美少年エドワード・ファーロングの全盛期を記録したという意味では、間違いなく価値ある一作。この世のものとは思えぬ美貌のわりに、どこか底が浅くドロリとした感情を内に持ったある種の俗悪さを感じさせる佇まいは、往年のアラン・ドロンさながら。ティーンエイジャーの危うさ・儚さも相まって、本作に虚しい格調高さを与え続けている。彼のニヒルな微笑みがクソ生意気で最高。〈美魔女と美少年〉の取り合わせもイイが、それを差し置いても〈美少年と子猫〉の破壊力は甚だしく、極めて取り扱い注意である。

注意ついでにもうひとつ。序盤にある悪ガキたちが猫をいたぶるシーンは正視に耐えず、猫好きの諸兄らは覚悟して臨むべし。実際には何も起こらないのだが、精神的にヤバイです。
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