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クローン・オブ・エイダのすずのレビュー・感想・評価

クローン・オブ・エイダ(1997年製作の映画)
3.0

あまり知られていないが19世紀に実在した、コンピューター•プログラミングの母とされるエイダ•バイロンの功績にインスパイアされた作品。

遺伝子学博士のエミーは、サイバー上に完全なる人工生命のエイダ(ティルダ•スウィントン)を創り、その記憶へアクセスするという研究に成功する。エイダの生涯の記憶にアクセスしながら、コンピューターを介して、時空を超えたふたりは交信する。

ファンタジック•マスマティック•サイエンス•フィクションとでも表せるだろうか。ティモシー•リアリーやレジデンツなど、文化、アート界隈のくせ者たちも脇を固めている。もう一方の主人公でキャリアウーマンのエミーのフェミニズム的描写も意図されたものであり無視できない。

現代のコンピューター•サイエンス•テクノロジーの過渡期における、本作(今から24年程前の作品)のイマジネーションや表現が、現代でどう進化しているかという面白さもありつつ、人工生命のエイダの記憶と意識の伝達から、仮想空間上に浮かび上がる鮮明な光景を、言わば〝タイムトラベル〟するというアプローチは、やや強引ながらも新鮮であった。

物体がそのまま時空を移動するタイムトラベルを題材とした作品は馴染み深いと思うけど、特に疑いもなくすんなり受け入れて観ていたものが、理論的な意識へと向かうと、改めて深刻に複雑でクエスチョン全開な、途方もないことだということに行き当たった。笑

ストーリーもしっかり追えるし、感動もするんだけど、理数系分野の踏み込んだ知識のあるなしで作品に対する印象がまた違ってくるのかな?とも思ったけど、観終わって、そこまで関係ないか?とも思ったりして笑。。何にしても、難しい雰囲気の作品だった。この分野の有識者にあれこれ質問しながら鑑賞出来たらめちゃくちゃ面白いだろうな。

この手の分野において、最後には人間の倫理観や死生観というものに行き当たるというのは、物語としては使い古された表現であるにも関わらず、人間である以上、永遠に答えの出ない問答と、イノベーションの狭間で、ずっと議論され扱われていくのだろうか。
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