イチロヲ

順子わななくのイチロヲのレビュー・感想・評価

順子わななく(1978年製作の映画)
4.5
未練を残す元恋人(遠藤征慈)との復縁を望んでいる女性(宮下順子)が、自身の豪奢な男性遍歴に足を掬われてしまう。「無意識的に男を惑わせてしまう魔性の女」の辛苦を描いている、日活ロマンポルノ。

本作の主人公は、悉く過去の上書きに失敗してしまう、ヒューマン・エラーを抱えた女性として登場。「自分が男たちをダメにしているのだ」という、自己嫌悪と自暴自棄に苛まれている女性の、自己実現が切実に描かれていく。

内容はシリアス路線だけども、やっていることは艶笑落語に近い。とりわけ、絵沢萠子が歳の離れた青年から求められたときの「1回だけよぉー!」が抱腹絶倒。横浜と浅草の古式の町並びが映像に収められているところも必見(日活撮影所かも知れない)。

端的に言うと「女性と付き合うためには、その女性の中にいる別の男を受け入れなければならない」を語っている作品。主人公の遍歴を優しく受け入れる、老獪な情夫(殿山泰司)が良いところを持っていく。いわば、大人のための性教育映画。
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