たけちゃん

パーフェクト ワールドのたけちゃんのレビュー・感想・評価

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)
4.3
誰かに撃たれるなら、お前で良かった……


クリント・イーストウッド監督 1993年製作
主演ケヴィン・コスナー、クリント・イーストウッド


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
本日、8月21日は「パーフェクトの日」
本当は「女子大生の日」でレビューしたいと思ったのですが、意外と女子大生が主人公の映画が思いつかなくて……(あっち系は別🤥)。「ハッピー・デス・デイ」はレビュー済だしなぁ。

ってことで「パーフェクトの日」に戻ります。
この日は1970年の8月21日に女子プロボウラーの中山律子さんが初のパーフェクトゲームを達成した日なのだそうです。
懐かしいですね~、中山律子さん!
僕ら世代はボウリングブームの頃に生きてきましたので、よく覚えていますよ。ただ、その頃は小学生で、そんなにボウリング🎳に通ったわけではなく、腕は平凡です……。


ところで、みなさんは人生のどこかで「完璧👏」と思った瞬間はありますか?
僕は人生のどこを振り返っても完璧と言える経験をしたことがありません。いつも惜しい……。なんなら、残念ばかり(笑)。なかなかパーフェクトな経験なんて、しないんですよね。

ボウリングの中山律子さんではないですが、スポーツならあるのかな?「完璧なピッチング」とか「完璧に捉えてのホームラン」など野球ならよく聞きますよね。造形作品でも「完璧な仕上がり」などと言います。お料理なら「完璧な下ごしらえ」や「完璧な味付け」とか。でも、僕の日常生活において完璧なことなんて、ないと思う……。

僕個人の生活では、何かを行う際、時間の制約や期限の制限の中で生きているので、いつも「ベスト」よりは「ベター」で結果を出しているんです。その段階での最善を目指して取り組むというか。だから、常に「完璧!」なんて言えないんですよね。このフィルマのレビューも、いつも時間制限の中で、諦めて、「えいっ」って「投稿」ボタンを押してます。だから、後でいつも後悔(笑)

でも、命に関わるお仕事なら「失敗」などは許されないため、常に「完璧」な仕事をされているのかも。医者や警察官が、そうでしょうか?
今、世の中は"完璧"を求め過ぎて、自分にも他人にも厳しいです。でも、完璧じゃなくて良い、優しい世界の方が、僕は住みやすいなぁ……😌



そんな「パーフェクトの日」に何を観ようかと考えたところ、ウォルフガング・ペーターゼン監督の「Perfect Storm」、今敏監督の「Perfect Blue」、そしてクリント・イーストウッド監督の「Perfect World」なんかが候補にあがりました。「ピッチ・パーフェクト」は全部レビュー済だったしね。

「パーフェクト・ストーム」は大好きなウォルフガング・ペーターゼン監督による実話ものでソフトも持ってる作品。
今敏監督はもうすぐ命日だし、取り上げたいと思ってた作品。
そして、「パーフェクト・ワールド」はクリント・イーストウッド監督作ですし、主演はケヴィン・コスナー。絶対のおすすめ作。

その中から今日の気分で選んだのが「パーフェクト・ワールド」でした。おそらくは、昨日観た「ダンガル」の親父モードが残っていて、擬似父子ともいえる今作を語りたくなったからでしょうね。









さて、映画です。
素晴らしいと言ったら語弊があるのですが、本当に素晴らしい映画。ラストシーンの余韻がたまらないです!
タイトルに「a Perfect World」と冠したこの作品。何が「完璧」なのかと考えながら観ましたよ。
それもあってか、以前観た時とは異なる感想が多々湧いて来たのも事実。その辺を書いてみたいと思います。


舞台は1963年のアメリカ、テキサス州
主人公は脱獄犯のブッチ・ヘインズ、演じるのはケヴィン・コスナー。脱獄に際し、男の子フィリップを人質に取り逃亡。そこから2人の逃避行が始まる……

一緒に逃げた小悪党のテリー。
女性に乱暴しようとし、子供を殴る最低な男。
なぜ、こんな男と途中まででもブッチは一緒にいたのでしょうね。彼のスイッチがどこにあるのか、彼とのやり取りで分かりました。それを見せるための存在だったか……。

ブッチの行動原理は"子供に優しく"なんですね。
本人は自覚がないのかもしれませんが、子供時代に自分が受けた虐待のトラウマで、子供が虐げられていると我慢できない。あんなに賢いブッチが切れてしまうのは、そこが理由でしょう。
彼は当然"完璧"な存在ではないんです。


また、この映画に出てくる警察官も"完璧"とは程遠い存在でしたよね。推測で動いているので"真実"が見えない。特に、ラストシーンのくだりは顕著でした。

ブッチのようにどこかで道や出会いを間違えてしまって、世界の"完璧"な歯車から外れてしまうと、それを元の道に戻すことが如何に難しいか!

今回観て思ったのは、ブッチを少年院に入れたガーネット署長の動機はブッチを"守る"ためでしたが、他に方法はなかったのか?ということ。彼に意図を伝え、他の選択肢を与えてあげたなら、ブッチの人生は変わっていたかもしれないんです。彼には道を示す"良き大人"がいなかったのが残念でした。

フィリップにとってブッチが良い大人かは確かに疑問ですが、ブッチが良き大人足らんとしたところはとても良かった。だからこそ、フィリップは"善人"としてのブッチを守りたかったんですよね。ブッチを本当の"悪人"にしないために彼はブッチを"撃った"。
でも、フィリップのその後も心配ですよね……。


"完璧な世界"とは、どこにあるのか?
僕にはブッチが泊めてもらった黒人家族の奥さんとダンスをするシーンで、人種も、背負った人生も、何も気にせずに存在する空間が、この映画1番の"パーフェクト・ワールド"と感じました!
そして、オープニングからエンディングに繋がる流れは、映画として"完璧"でしたね(*`ω´)b