菩薩

非・バランスの菩薩のレビュー・感想・評価

非・バランス(2000年製作の映画)
4.0
『ごめん』と言い冨樫森はちゃんと相米の元で学ぶべき事を学んだのだろうなと実感出来る一本。教室の窓からの落下なんてまんま『台風クラブ』だし祭りの先のイニシエーションって意味では『お引越し』なんかも感じる。トラウマを抱え自分を閉ざす事により自己を守ろうとする少女となんでも願いを叶えてくれる「緑のおばさん」との邂逅。とまぁ実際は自分の生活すらままならないくらいの限界中年ゲイなのだが、その出会いから孤独な少女の世界が開かれていく。不器用に生きていく者同士の連帯と鮮やかな生き直し、吉とも凶ともなる人間関係だがそうして前へと向かっていく為のバランス感覚が養われていく。飛び降りギャルが落下の最中の心境を語る場面が猛烈に良い、いじめっ子の対峙の際に発する加害者にとっては「過去」かもしれないが被害者にとってはずっと続いてるものであるし「今」なのだとの返しは非常に意味を持つと思う。
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