囚人13号

自殺への契約書の囚人13号のレビュー・感想・評価

自殺への契約書(1958年製作の映画)
4.0
密室劇の完成度は照明含め、映画の特権が如何に空間設計を好転させているかである。アップや切り返しは当然として、今作はテレビ放送のプロレス試合と人物間を縫って通るようなカメラワークが良い。
誰かに嫌疑の目が向けられる度に選手も同じく抑え込まれることによって人物の窮地を体現している(リノ・ヴァンチュラが出てるのも面白いし)。

ルメット然り民主主義的な綺麗事が剥がれ落ちていく過程に加え、逃げ場のない場としての密室が活きる。驚異的な記憶力だけが頼りとなる事件の再現は回想シーンを導入せず台詞と動線だけで見せる意地が凄い。
囚人13号

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