ろく

濡れた欲情 特出し21人のろくのレビュー・感想・評価

濡れた欲情 特出し21人(1974年製作の映画)
4.0
神代映画は癖になるよねえ。決してしっかりとした内容を伝えるわけでないしセリフは何言っているかわかんないときがあるし、カットはさらにわかんないときだらけなのに(白塗りの人たちは何なんだ)。

つい見ちゃうの。面白いの。なんかあと引いちゃうのよ。

とくに僕は神代の日本歌謡に心臓打ち抜かれているの。「悶絶!どんでん返し」もそうなんだけど歌謡がそのまま怨歌なのよ。そのまま言霊が入ってくる感じ。これは洋画では味わえないものなんだ。でさらには登場人物も歌いまくる。ああこの感覚に痺れるんだ。

そしてさらに芹明香ね。芹のすごさって「何があっても生きてしまうんですよ、あたい」って感じなのよ。一番すごいのは最後に「生きている人」なんだって渋川先生も言っていたじゃん。達人の域なんですよ、芹ちゃん。一番似ているのは桃井かおりの存在感なんだけど、僕は芹に軍配を上げてしまう。それくらい「生きている」感が凄いのよ。

神代得意のストリップに神代得意の群像劇とおなじみだけど(赤ちゃんが寝ている横でセックス、舞台の出ている間にセックスと意味不明シーンも好き)、とにかく愉快でにやって笑って面白い。やっぱ神代はいいなぁとみていてしみじみ思ってしまった。何がいいかって。だってこの世界がいつまでも続かないかしらんって思ってしまうんだもん。

神代の映画はそっちの世界に行きたくなるんだよ。これほんと。
ろく

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