ガブXスカイウォーカー

コント55号 宇宙大冒険のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

コント55号 宇宙大冒険(1969年製作の映画)
3.8
《あらすじ》
勤皇党の坂本桂馬と新選組の芹沢角、芸者小菊は、パラド星人のドグマに拉致誘拐される。パラド星連邦は平和すぎて、人民に闘争本能を復活させるために、地球人の好戦的な性格を導入しようと三人を誘拐したのだ。
パラド星は日本列島に酷似しており生活は快適で、三人はすっかり怠惰に。それを見た連邦政府の要人たちは、三人を連れてきたドグマを死刑にしようとするので、桂馬と角はドグマの危機を救うべく、争ってみせるがいずれも勝負は引き分け。最後のグラン・プリレースで二人は重傷を負い、大脳から闘争本能の本体を抽出されることとなる。その闘争本能からゲバルト混合剤が製造され、これを飲んだパラド星人たちは、猛ハッスルし、到る所で暴動が続発した。その頃、パラド連邦から脱退したキレジ島で核実験が成功し、パラド連邦もこれに対抗すべくミサイルの開発に乗り出す。ドグマは、パラド星の壊滅寸前に桂馬、角、菊を円盤に乗せて脱出するのであった。
二年半後、円盤は無事地球に帰還するが、喧噪と混乱はパラド星末期と同じ。桂馬と角は戦争だけは止めてくれと連呼し、精神病院に入れられることに。そこで二人は、楽しげに、ズイズイズッコロバシに興じるのだった。


本作はかの東宝チャンピオンまつりの記念すべき第一回目上映作品。同時上映はなんと『オール怪獣大進撃』(本多猪四郎監督の迷作!)と『巨人の星 行け行け飛雄馬』だ。いちおうSF 映画なのでちゃちいながらも真野田陽一による特撮シーンもある(『世界大戦争』『緯度0大作戦』などからの流用もあり)。
一見、ただのコメディかと思いきや、戦争反対のテーマを面白おかしく訴えていて感心。さすが後に大河ドラマなどを書くジェームス三木脚本、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』、『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』などの福田純監督だ。ちなみに音楽は『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』の廣瀬健次郎。主演のコント55号とヒロイン、高橋紀子たちもノリノリだ。
今作は第一次怪獣ブームが終わり、円谷英二は亡くなり、いや邦画界自体が衰退していた時期に製作されただけあって、ひじょうに低予算で、全くと言っていいほど忘れ去られているが、SFファンならば一度は観てほしいナンセンスSF コメディの快作である。