ーcoyolyー

キネマの天地のーcoyolyーのネタバレレビュー・内容・結末

キネマの天地(1986年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ある時代の松竹に対する愛惜で構成されている映画。歌舞伎や新喜劇やSKDを含む松竹文化が総力を結集して最後に打ち上げた松竹オールスターによるお祭り映画。これ、渥美清が生きているうちに撮れて良かったな。今振り返ると松竹文化は渥美清と共に去りぬ、だと思う。最後の象徴が死ぬ前にこの映画撮れて良かったよ。だから劇中で渥美清がああやって亡くなったところで松竹文化の終焉を目撃したような気分になって悲しくなった。この頃もう既に松竹の真髄は渥美清にしか残ってなかったんだろうな。

よく『蒲田行進曲』と比較されてるけど性質が違う映画だから比較することないよね。というかお互いにリスペクトしあってるの伝わってくるから「仲良く喧嘩しな」くらいの扱いで良いのではなかろうか。わざわざ松坂慶子と平田満キャスティングしてアカ繋がりで場面繋いでて、これ本当は風間杜夫もキャスティングしようとしたけど単にスケジュールの都合で出られなかったくらいの裏事情しかなさそう。

ただ有森也実が田中絹代だけは違うだろう、荷が重くない?ここだけは裏事情の臭いがぷんぷんするぜ!と思ってたんですけど、元々は藤谷美和子がこの役にキャスティングされてたのに降板したらしくて、あ、はい(察し)ってなりました。うん、なんかすまんかった。これ藤谷美和子に当て書きしてたところに急遽代役に入ったのかと分かると大変しっくり来る。劇中で岡田嘉子(をモデルにして松坂慶子が演じていた人)が駆け落ちして急遽大作主演に抜擢されたヒロインがその重みに耐えかねて心境吐露するシーンだけやけにリアルで、周りのフォローの優しさもやけにリアルで、あそこだけは有森也実のドキュメンタリーなんだろうなと伝わってきた。

なんだか渥美清を眺めているうちに『男はつらいよ』って今リメイクするなら寅さんは大泉洋だなと思って、あの大泉洋さんが(私が教育実習で実家に戻る時大学の同級生に「今北海道で題名わからないけど面白いローカル番組あるって話題になってるからビデオ録画してきてくれないかな?」と頼まれて「番組名わからない?じゃあ弟に聞いてはみるけど……」と全く何の期待もしないで電話で当時高校生の弟に一応伝えてみたら「わかった、録画しとく」となぜかすんなり話が通ってしまって、番組名わからないのに本当にその番組で良いのかな?と思いつつ東京に『水曜どうでしょう』を持ち込んだのが1998年初夏、サイコロ5 キングオブ深夜バス、そう、あのはかた号のシリーズだったので道内在住者以外ではかなり初期から彼を認識してた方だと自負している)ただの大学生→北海道の大スターから国民的俳優まで上り詰めていることに今気付いて宇宙猫みたいな顔してます。
ーcoyolyー

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