『マッチ売りの少女』をジャン・ルノワール監督が映画化したサイレント作品。40分の短編。童話の域を超えた大人のためのお伽噺です。
『マッチ売りの少女』といえば純粋でけなげな少女のイメージですが、全然少女じゃない。昔の作品は顔を白く塗ってメリハリをつけるからでしょうか、顔が怖いっ。
マネキンが人間だったり、空飛ぶ馬だったり、少女が見る幻の描写もちょっと不気味なファンタジー。
100年近く前の作品なのに実験的でシュールな映像で、優雅なイメージのルノワール監督とはまた違いました。コントラストの強いモノクロに、雪の描写が美しかった。
主役カトリーヌ・エスランは監督の父である画家ルノワールの晩年のモデルであり、監督の最初の妻なのだそう。