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ファースター 怒りの銃弾のkuuのレビュー・感想・評価

ファースター 怒りの銃弾(2010年製作の映画)
3.5
『ファースター 怒りの銃弾』
原題 Faster.
映倫区分 PG12.
製作年 2010年。上映時間 98分。

ドウェイン・ジョンソン主演のアクションドラマ。
監督はジョージ・ティルマン・Jr.。
共演にビリー・ボブ・ソーントン、トム・ベレンジャー。

今作品は、法律が通用しなくなったとき、自らの手で法律を行使する男の映画でした。
主人公のドライバーは、名前は明かされないが、銀行強盗で酸鼻を極めた元受刑者で、仕事後、グループがダブルクロス(裏切り)しているときに、彼の兄が殺害される。
10年の刑期を終えた彼は、その出来事を何度も思い出し、復讐だけを胸にムショ(刑務所)の門をくぐった。

ムショの外にいる仲間は、兄殺しの関係者の名前が書かれたリストを持ってドライバーを待っている。
このリストを手に入れたドライバーは、リストに書かれた人物を一人ずつ殺っていく。
唯一無二の存在であった兄ちゃんを失った怒りは、正義を貫くため(正義と呼べるかはどうかとは思うが、今回は正義と続けます)に手段を選ばない。
しかし、その旅には1つ2つの問題があった。
ドライバーを捕まえるため、あるいは彼を倒すために、警官と殺し屋が送り込まれる。

今作品は復讐に燃えているが、考えさせられるポジティブな要素も含んでました。
強盗の見張り役をしていた男が、一転して人生を棒に振る。
強盗に関わったことは疑わしいし、間違っていたかもしれないが、彼は許しを得て、道を踏み外した若者を助けるために活動する。
ドライバーは、元恋人との間に子供をもうけたとされ、その息子が刑期中に堕胎したと聞いたドライバーの元カノは、自分がしたことへの償いと許しを求める。
ドライバーは兄の死に対する復讐心しかないけど、彼が出会うすべてのものは、復讐が正しい行動ではないことを示唆しているように思われる。
正義を貫きたいが、それを実現することだけに集中できないようだ。元彼女やラジオの牧師を通して、ドライバーは許しこそが答えであると何度も聞かされる。正義を貫こうとする彼の心には、それが本当に望んでいることなのか、常に問いかけがある。

親しい人を殺されるなど、悪に遭遇したとき、ドライバーのように復讐を求めることが簡単な解決策になる。その瞬間の復讐は、再び平穏を得るための唯一の手段であるかのように思える。
そないな時、人は復讐が平和をもたらし、すべてを再び正しくしてくれるという信念に直面する。
しかし、そないな瞬間には、許しという選択肢を聞いたり考えたりすることはほとんどない。
なぜやろなぁ。
赦してのは、正義をもたらさないことがほとんどやし、脇に追いやられることが多い。
もっと重要なのは、殺人を犯した者がどうして結果なしに赦されるのか、ということかな。
しかし、ドライバーにとって、赦しはその重要性を考えるために、常に彼の行く手に立ちはだかる。ラジオの伝道師は、復讐や殺人が人の心に平和をもたらさないことを知っているし、むしろそのような手段は、伝道師が知っているように、人を平和と赦しから遠ざけるだけ。
結局、本当に殺されたのは弟か、それともドライバー自身なんか、彼の中に残っていた良いものはもうなくなってしまったから、このことを念頭に置いて、伝道師は彼に
『神はあなたを完璧にするためにここに存在しせたのではなく、救われるために存在させた』と云い聞かせようとする。
そして、それでも足りなければ、牧師はドライバーに許しを請うが、ドライバーが彼を殺しに現れる。
さて、ドライバーは最後に自分自身への平安を見つけることができるんか。
それとも、良いものをすべて失ってしまったために、内側から破壊されてしまうんか。。。
全体として、今作品はアクション満載のアドベンチャー映画であり、小生を楽しませてくれました。
赦しを求めることと復讐を果たすことの間で激しく交錯するこの映画は、ドライバーが何を見出すのか、最後まで想像させてくれると思いますよー。
kuu

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