正直第三の男の正体に驚きはなかった。光と影、排水溝から蠢く指など印象的なショットやサスペンスだけではない別のテーマもあったから最後まで楽しんで見れた。
陽気なイメージのある音楽を背景にサスペンスが続くからミスマッチでは?と思っていたが、ラストの主人公の心情とはマッチしていたと思う。
登場人物は正義よりも愛や実利を選ぶ人たちが多い。戦争という正義の価値観が揺らぐような出来事があった直後ということが大きいと思う。
愛に盲目的に見えるアンナは悲劇的な歴史を持つチェコ出身(西欧に見捨てられ、ドイツに占領され、解放後はソ連の傀儡国)ということも大きい気がする。