Uえい

第三の男のUえいのレビュー・感想・評価

第三の男(1949年製作の映画)
3.0
引き続きフィルム・ノワールを探訪する。本作もなかなか癖が強くて、ジャンル的な型からははみ出していそうな印象だった。

アメリカ人作家のホリーは戦後間もないウィーンにやってくる。友人のハリーを頼って来たのだが、少し前に交通事故で亡くなっていた。

彼の家の門番から、警察には話していない、現場にいた謎の男の存在(第三の男)を知り、友人の死の真相を探りだす。ハリーは闇市で粗悪なペニシリンを売り捌くなど評判が悪く、それによって子供達が犠牲になっていた。友人の死に絡む陰謀と対比して、恵比寿ビールのCMでお馴染みの軽やかなテーマ曲が流れ、ギャップが面白い。

後半、ひょっこりとハリーが登場する。オーソン・ウェルズが演じていて、どこか可愛げのある憎めない感じだ。ホリーは警察とも仲良くなり、悪さをした友人を引き渡すか、友情を取るかに心が揺れる。

そして最後、警察、ホリー、ハリーによる大捕物が展開するが、地下水道のジメジメした感じとモノクロの親和性が高く、カッコよかった。葬式で始まり、葬式で終わるというサンドイッチ構造になっているが、妙なスッキリ感があって変な感じだ。
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