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怪猫 からくり天井のhorahukiのレビュー・感想・評価

怪猫 からくり天井(1958年製作の映画)
3.5
猫の名前は玉簾!

今まで見る方法がなくて諦めてためちゃくちゃレアな怪猫映画!!劇場公開と放映のみで全くソフト化されてなかったやつ。戦前を代表する怪猫女優で、怪談・邦画ホラー映画界のレジェンド中のレジェンド鈴木澄子さんの遺作。急にサラッと追加してくれるU-NEXTさんほんとイケメンすぎる!

内容は数多の傑作怪猫映画たちと比べると少し弱く感じるし、ソフト化が見送られたのもやむ無しなのかな…という感じではあったけれど、怪猫映画の新喜劇的なお約束展開はしっかり網羅されているし、暴れ回るシーンは流石にスタントといえども鈴木澄子さんの怪猫を見られるだけで価値があると思う。

ちなみに東映は本作から怪猫に参入したらしくてそういうところでも重要作。その後、本作でも名演を見せてくれた月形龍之介さん主演で水戸黄門×怪猫の『水戸黄門漫遊記 怪猫乱舞』という怪作まで撮ってるし!

物語のベースは鍋島猫。囲碁バトルでズルした殿様に対して文句を言った男がその場でぶった斬られて殺される。そのことを知ったママが悲しんで自殺。ママの死に際に「復讐してくれ…」と頼まれた愛猫タマちゃんが血を啜って怪猫化!タマちゃんがにっくき殿様に復讐を開始するいつもの展開。

男が殺されるまでの流れは実はお家の興亡のために分家筋が仕組んだもので、タマちゃんだけでなく分家サイドも殿の死を狙って動いているという不真正連帯状態になっているのは珍しい気がするし、普通に怪猫より分家サイドの方が殿様からしたら難敵になっちゃってるのは何か笑った😂しかもタマちゃんは倒す相手が良くわかってなくて、全然関係ない人を襲い出したりするのも可愛くてサイコー!

色々と差別化図ろうとしたのだろうけど、やっぱり同年に中川監督の『亡霊怪猫屋敷』があるのが何より辛いなーって感じだった。というかいつも思うけど、殿様相手なんだから忖度して負けてあげれば殺されずに済むのに!殿様相手に大人気なくガチギレしてたけど、そこは飲み込もうよ!
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