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トム・ヤム・クン!のTSのレビュー・感想・評価

トム・ヤム・クン!(2005年製作の映画)
4.0
【伝説の長回しシーンは必見】84点
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監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
製作国:タイ
ジャンル:アクション
収録時間:110分
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 タイのアクション俳優、トニー・ジャーが世界に進出した作品。監督も主人公も前作『マッハ!』と同じなので、世界に挑戦するような意気込みが見られます。個人的にはやはりタイを舞台にしていた『マッハ!』の方が少し上手かなと思いましたが、今作も十分面白いアクション映画でありました。

 『マッハ!』では、村の仏頭が盗み出されてそれをひたすら取り戻すという設定でしたが、今作も非常にシンプルでして、今作も密輸組織に盗まれた愛象を取り戻すために、青年カームは単身でシドニーに乗り込むというもの。

 前作同様、ワイヤーアクションやCGをなしとしていて、緻密な計画の中、すべてのキャストが動かないといけないため、まさに全キャストが神業的な演技を披露しています。トニー・ジャーが戦う相手の戦法も増えて、ムエタイのみならず、カポエイラや剣術、プロレスなども出てくるので見ていて飽きません。まるで昔のゲーム『ファイナルファイト』をプレイしているかの如く、横スクロール的に敵が薙ぎ倒されていくので爽快です笑

 極め付けは多くの方が評価している、敵のアジトに潜入し、螺旋状の階段を上りながらカームが敵を薙ぎ倒していく長回しのシーンです。これは何が凄いのかというと、長回しなので時間の経過とともにトニー・ジャーがリアルに実際に疲労していっていることがわかるということです。よく映画のワンシーンで全力で走るシーンがありますが、もちろんそれは一部の映像です。あんな全力で長距離を走っていてもつわけないだろ、といつも突っ込んでしまうのですが、今作のこのシーンにおいては、トニー・ジャーの疲労度は本物であり賞賛に値します。しかも、これだけのキャストが出てきて、トニー・ジャーがアクションをして、他のキャストが決められた場所に配置され、薙ぎ倒されていかないと狂っていくわけですから、とんでもない長回しシーンであります。少しでもミスをしたらやり直し、と言えば簡単そうですが、トニー・ジャーもこれを何回も出来ないでしょうし、何よりもセットが破壊されているので、二回目となると数日後とかになってしまうでしょう。ちょっと調べきれてませんが、このシーンは一発撮りでいったのではないでしょうか? 後半は明らかにトニー・ジャーは乳酸がたまり辛そうになっているので、渾身のワンシーンと言えそうです。

 このシーンは神業的ですが、終盤の展開は少し物足りなかったので、個人的にはトゥクトゥクの斬新なカーチェイスがあった『マッハ!』の方が少し上かなと感じました。しかし、世界的に評価されているアクション映画なので、タイの革命的映画として見ることをオススメします。なお点数は一応、長回しが凄すぎるので『マッハ!』よりかは上にしています。
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