ハレンチ学園在学生

妻として女としてのハレンチ学園在学生のネタバレレビュー・内容・結末

妻として女として(1961年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

成瀬巳喜男監督、高峰秀子主演のカラー作品を初めて見た。そのせいというわけではないがモノクロより現代的なホームドラマに見えてしまうが内容はそんな生やさしいものではない。高峰と森雅之の不倫関係はやはり同じ銀座のバーを舞台にした「女が階段を上る時」の延長にあるようにも見えるが、本作は表題にあるように本妻がクローズアップされる。森のどっちつかずの曖昧な態度から妾の高峰と妻の淡島千景がぶつかり合うのだが、話をややこしくしているのは高峰が産んだ二人の姉弟が淡島に育てられていることで、後半に生みの親と育ての親の対立軸が展開される。ラストは妻が50万円の手切れ金を払い3人が関係を解消するように描かれているが、いささか予定調和的なものを感じる。修羅場を覚悟して乗り込んだ高峰には裁判をしてまでも戦い抜いてほしかったと思う(勝てないと踏んでの妥協だったにしても)。たまったものではないのは子どもたちで、姉は大学の寮に行き、弟は大学に入って家を出ることを目標にするのだが、もっともラスト、寮を訪ねてきた弟に姉が「映画でも見ようか」という台詞に弟がカバンを投げて喜んでいるところを見ると子どもたちはさほど深刻に考えていないことが知れる。座りの良い着地を嫌う成瀬作品にはめずらしく明るい予感がする幕切れは子どもたちの未来を案じてからか。高峰秀子と飯田蝶子の孫と祖母が交わすやり取りだけが息が抜ける。