Jeffrey

サンタ・ビットリアの秘密のJeffreyのレビュー・感想・評価

サンタ・ビットリアの秘密(1969年製作の映画)
3.0
「サンタ・ビットリアの秘密」

冒頭、ここはイタリアのとある村。ドイツ軍が侵攻してきた。武器を持たない村人とワインを隠す呑平。 駐留ドイツ軍ブルム大尉、洞窟、看護婦、女房、尊重、36時間。今、人間の尊厳が映される…本作はスタンリー・クレイマー監督が1969年に米国で監督した139分の奇想天外な村の人々の作戦を描いた群像劇で、この度初BD化され購入して鑑賞したが面白い。クレイマー監督と言えばポワチエ主演の「手錠のままの脱獄」が有名だが、「渚にて」「招かれざる客」なども有名だ。こんな名作を撮っている監督の本作が、今まで日の目に当たらなかったのは残念である。主演を務めたアンソニークインの人間味あふれる村長の演技は素晴らしく、彼がこの作品の水準を満たしていると言える。一方彼の女房である肝っ玉母さん役のアンナ・マニャーニが、古き良きイタリアのママを実に素晴らしく演じていてこちらも最高である。

個人的に残念なのはせっかく円盤化したのだから月曜ロードショーの日本語吹き替えもきっちり収録して欲しかった。この作品イタリア舞台でイタリアをロケ地に撮影されていると思うのだが、全編英語の吹き替え?になっているのは不思議だ。でもこれ一応米国映画制作になっている。よくわからないが何か違和感を感じて仕方がない。本作はゴールデングローブ賞ミュージカル部門で作品賞受賞している。

さて、物語はサンタ・ビットリア村にドイツ軍侵攻の報がもたらされる。女房のローザには全く頭が上がらない陽気で酒飲み、村人の信頼も厚い村長のボンボリーニ。このときばかりは頼れる存在で村人を総動員し、ワイン蔵から村はずれの洞窟まで昼夜兼行、大雨もいとわず、見事にすべてのワインを運び終えることに成功する。そんなことも知らず駐留ドイツ軍ブルム大尉は何とかワインのありかを聞き出そうとする。美しい看護婦カテリーナを誘い出すもうまくいかない。ついに36時間以内にワインを見つけろと言う本部の命令にブルム大尉はとうとう村人たちに銃口向ける…と簡単に説明するとこんな感じで、クレイマー監督が第二次大戦末期のイタリアを舞台に、ドイツ軍を相手に堂々と渡り合う武器を持たない村人たちとの尊厳をかけた戦いをユーモラスに描いた物語で、ビデオ化の後、長らくDVD化がなされず映画ファンからリリースを求める声も多い名作が待望のパッケージ化されたと言うことで初鑑賞したが、なぜ今までされなかったのかが不思議でたまらないこういった作品がいまだに埋もれているのは悲劇である。
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