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それぞれのシネマ 〜カンヌ国際映画祭60回記念製作映画〜のsonozyのレビュー・感想・評価

3.5
カンヌ国際映画祭60周年の2007年。
「あなたにとって「映画館」とは何か」をテーマにした3分間の短編というお題で33人の監督が参加したプロジェクト。

さすがに3分間という短さなので、すぐ忘れそうなものも多いですが、印象的だったものをメモ。

●北野武『素晴らしき休日』
監督が初めて映画館に行った時の体験がベースという、田舎の小さな映画館に自転車で来た男の可笑しみと哀愁漂うお話。

●テオ・アンゲロブロス『3分間』
ミケランジェロ・アントニオーニの『夜(1961)』で共演したマルチェロ・マストロヤンニとジャンヌ・モローの贅沢な再共演。モローのセリフは『夜』から。

●デヴィッド・リンチ『アブサーダ』
スクリーンからデカいハサミが飛び出してるというビジュアル。わずか3分でもリンチ先生の世界へ引き込むのはさすが!

●アキ・カウリスマキ『鋳造所』
鋳造所を定時で終え作業着のまま隣接する小さな映画館へ直行する5人の作業員。『リュミエール工場の出口(1895)』のロックなBGM ver.を観る。ひと目で分かるカウリスマキ・ワールド^^

●オリヴィエ・アサヤス『再燃』
映画館に来たカップルを見つめる一人の男。カップルの座席の近くに座り…謎めくサスペンスな展開。

●ラース・フォン・トリアー『職業』
監督作の『マンダレイ』を観ている正装の観客たち。監督本人の隣に座っている男が、自分がいかに大成功したかをアピールし始めて…ブラックでグロなオチで笑える。

●クロード・ルルーシュ『街角の映画館』
両親の出会い〜母のお腹の中にいる時から映画館に通っていたという監督の実話を元にした素敵なお話。『トップハット』のフレッド・アステア「Cheek to Cheek」♪と共に。

●ロマン・ポランスキー『エロチックな映画』
『エマニエル夫人』のエロいシーン上映中の映画館には中年カップルと、後方で何やら呻いてる変な男。カップルはたまらず係員に変質者がいると連絡に行くが…笑えるオチ。

●エリア・スレイマン『臆病』
監督の作品上映会にいる臆病そうなスレイマン監督本人。上映後登壇しても特に質問もされず。。チャップリンテイストのユーモラスな演技が面白い。

●ヴィム・ヴェンダース『平和の中の戦争』
2006年コンゴ川下流の町カバロ。植民地として100年、独裁下で30年、内戦10年を経た平和の最初の年だというのに、テレビを置いた小さな映画小屋に集まる子供や大人たちが夢中で観ているのは何故か戦争映画…
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