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修羅のbrianのレビュー・感想・評価

修羅(1971年製作の映画)
5.0
鶴屋南北の歌舞伎狂言『盟三五大切(かみかけて さんご たいせつ)』をもとに、人間の情念と怨念を壮絶に描いた時代劇ホラー。

【主なキャスト】
中村嘉葎雄(源五兵衛)
三条泰子(小万)
唐十郎(三五郎)
今福将雄(八右衛門)

他人を騙すのはいけないことではあるが、騙される方にも問題があるのではないだろうか。と、京都ぶんぱくで久しぶりに鑑賞した。
人間の醜い様々な欲望が絡み合い縺れ合う不条理なこの世。江戸時代に限らず、令和の時にも通ずることが多々ある。人間の悪行は止まることを知らない。

東映時代劇・中村嘉葎雄、劇団民藝・三条泰子、状況劇場・唐十郎の凄まじい熱演に見入った。
今回は脇役に徹したベテラン・今福将雄に注目してみた。
八右衛門は最後まで誠心誠意、源五兵衛に尽くした忠実な僕(しもべ)を好演。最期の姿が切なくて胸に迫る。

撮影は「とべない沈黙」「田園に死す」など数多くの作品を担当した鈴木達夫。照明を控えめにしたモノクロによるハイコントラストが美しく怪しく映し出していた。

監督は「薔薇の葬列」「ドグラ・マグラ」など実験映画や前衛映画を手がけた"映像の鬼"松本俊夫。スローモーションや反復映像の演出、美術家・朝倉摂による舞台劇を思わせる大胆なセットなど見どころ満載である。傑作。


修羅(1971)
https://youtu.be/rVjaizsODs0
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