クロスケ

修羅のクロスケのレビュー・感想・評価

修羅(1971年製作の映画)
4.7
【再鑑賞】
ひたすら黒い。真っ黒。

小万の惨殺シーンは一部カラーで撮影されたと聞きます。それを見た松本俊夫監督はわざわざモノクロームに直したそうです。
結果的にこの判断は大正解と言えるでしょう。仮にカラーになっていたとしたら、作品の印象も大いに変わっていたことでしょう。

小万の身請け話の席に源五兵衛と三五郎が乗り込むシーンのロングショットも素晴らしい。
登場人物たちの背後に設置された屏風は、尾形光琳の『紅白梅図屏風』を思わせます。

この迫力に満ちた舞台装置を生み出した朝倉摂の見事な仕事ぶりも見逃せません。

余談ですが、近ごろの時代劇(時代劇そのものの数が少なくなってはきていますが)は、どれもこれも今どきの話口調で、どうも緊張感に欠ける気がします。諸事情、想像できますし、それはそれで仕方のないことかもしれませんが、やはり、たまには情緒豊かなセリフを響かせた、気合の入った時代劇が観たいものです。
クロスケ

クロスケ