ろくすそるす

修羅のろくすそるすのネタバレレビュー・内容・結末

修羅(1971年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

これは暗く、やりきれない映画。一人の浪人、源五郎を芸者小万とその夫、三五郎(唐十郎)が騙し、百両という大金をむしりとる。許せぬ、と復讐に燃える源五郎は、この夫婦に協力した者どもを皆殺しにする。
 この虐殺の罪を源五郎の忠臣の爺が自ら被り、処刑される。夫婦は高飛びし、百両を元手に勘当されている父に許してもらう。しかし、源五郎は彼らを追い、更なる悲劇が展開される……。
 シナリオが素晴らしいのもさることながら、序盤の主人公の頭の中のイメージが現実に先駆けて、挿入されるところはとてもよくできている。
 生首を机に載せて、杯を飲むシーンはサロメのごときデカダンスを感じさせる。三五郎が切腹し、潜んでいた樽が崩れる場面のリピートや人を殺める時のスローモーションの出来映えが、映像表現として美しい。
 「この世は血の海である」というテロップにあるように、修羅の奥深く、「奈落」の底を垣間見る傑作だった。鑑賞後は救済のない狂気の世界に、茫然としてしまう鬱映画ではあるけれども。