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六條ゆきやま紬のIMAOのレビュー・感想・評価

六條ゆきやま紬(1965年製作の映画)
4.5
伝統工芸の「ゆきやま紬」を織る北国の旧家に嫁いだ芸者上がりの女性が、夫の死後、閉鎖的な共同体の中で中傷にさらされながらも懸命に生きていく姿を描く。(国立映画アーカイブの解説より)

松山善三は脚本作では優れた作品が多いし、彼の監督デビュー作『名もなく貧しく美しく』も数年前に観直して大傑作だと思ったので、かなり期待して観たのですが、隠れた傑作だと思いました。
松山善三の脚本&演出あってのことだと思うが、岡崎宏三の撮影の素晴らしさ!岡崎は豊田四郎の『波影』でも素晴らしい白黒撮影を見せてくれたが、この作品でも、ワンカットワンカット美しくも恐ろしい佇まいを表現している。
主演の高峰秀子始め、フランキー堺、大空真弓、小林桂樹、神山繁などの名優たちが適材適所に配置されているのも素晴らしい。まさに日本映画最盛期の底力を見せつけられた様な作品。松山善三はとても才能のあった監督だったと思うが、過小評価されてきた人だと思う。多分、人柄も地味だったし、木下恵介と高峰秀子の影に隠れてしまったところも大きいだろう。あとこの作品に限っていえばタイトルが良くないと思う。これもまた、ちょっと地味すぎる^^

個人的にはとても気に入った作品なのだが、地方の農村の描き方は、この時代ならではの差別性を感じたりする。ただし、これは高度経済成長期における日本全体の認識でもあっただろう。現在ならまた違った視点で描かれる話だと思う。
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