winona

少年、機関車に乗るのwinonaのレビュー・感想・評価

少年、機関車に乗る(1991年製作の映画)
4.0
初タジキスタン映画…この街並みをセピアで眺める事は、(普段なかなかお目に掛かる機会も無いが)テレビでも見られない、日常で絶対に交わる事の無い世界の鑑賞に思える。

ティーンネイジャーの爽やかさと芯が感じられるチムール・トゥルスーノフ、「デブちん」と呼ばれるいかにも子供らしいファルズ・サブザリエフ、二人を運ぶ大人で個性的な運転手ナビ・ベグムドロフと直感的好感度の高い人物で構成された配役も良い。

いつも物語と共に在る第二の主役である機関車も、静止画や機関車を追うカメラワークにも小さな工夫が見られ、機関車の細部の躍動感を写す画もなんだか感動的。

あとこの余りにも美しい雰囲気を壊す様で鑑賞中は心の隅に移動させておいたが、土を食べるのを止められないとは強迫性障害に思えて、まだ幼く可愛らしい弟に重く伸し掛かる負荷がしっかり描写されているのも空想の話とは思えず、物語を構成する細かいエピソードも全て自伝的で少なくとも何かモデルがあるのではないかと思った。
winona

winona