少年、アザマットが人懐こく可愛らしい。
でもかなりの食いしん坊キャラのその弟を、兄ファルーは口煩く叱る。
フドイナザーロフ監督のその後の作風にも通じる、乗り物が重要な役割を担っている。
ここではそれが機関車で、そこに乗ってから兄弟のロードムービーが始まる。
行く先々でさまざまな人間に出会うのだが、その一人に大量のポットを抱えた行商人がいる。
かの地、タジキスタンでは、お茶が重要であり、それを注ぐポットが重宝されているのがこのシーンで読み取れる。
お茶の時間を大切にする土地には時間そのものがゆったり流れているようなイメージが、個人的にはある。
夜空の下、街の人たちが野外で映画を楽しむシーンもあり、それらも含めてなんだかかつての日本を見ているような気にもなってくる。
アザマットくんにとって、こういう旅は後から思い返せば一生モノの思い出になるのだろう。