邦題が的を射ている
息もできない苦しみと暴力の連鎖。カメラワークもハンドカメラを多用されており、その画面のブレはこの環境と人の不安定さを表しているよう。また日常のシーンでもヨリのショットが多く画面から息が詰まるような圧迫感を感じた。
監督・脚本・主演を務めたヤン・イクチュンの顔が良すぎる。言葉数が少なく、発する言葉も暴力的なサンフンはその口から心の内を探ることは難しいが、その表情だけで全てを表現していた。
無愛想ながらも少女との出会いから徐々に変化していく表情に映画的表現の核を見た。監督・脚本を務めているからこそ本当に繊細な表現を体現しているのだろう。
そして同じく主演のキム・コッピの顔も良すぎる。荒んだ環境のことをサンフンにも話はしないが、放つ嘘と表情の絶妙な塩梅が本当に繊細でこの作品に生々しさをもたらしている。
