『あゝ、荒野』のヤン・イクチュン"バリカン健二"役がとても良かったので、監督までやってるこの作品に興味を覚えた。
タイトル通り『息もつけない』。
やり場のない怒り、常に何かを待っているのに何も変わらない日常に対する焦燥感、絶望、堕落、それでも後ろから棒で突かれ走らされる毎日。
不勉強ながら、アメリカだけでなく韓国にもベトナム戦争の傷跡が色濃く残っている事を初めて知った。
その影の下に暮らす人々は、なかなか日向に出られない。いくつもの家庭が簡単に壊れ散らばっていく。負の遺産を背負い込まされた者はたとえ年端も行かぬ子供だろうが、容赦なく重くのしかかっていく。耐えきれず潰れる者や、暴発する者が後を絶たない。
そんな境遇の者たちが本人は知らないうちにいつの間にか寄り添い合い、互いに寄りかかって新しい家庭が出来上がる。
ただ、そのカスガイ役となった本人が、そこにはもういない。
"腹が立つ、腹が立つ、何か知らんけどホンマにムカムカ込み上げてくる"
新しい家族の未来にすら負のサークルの影が落ちる。
いや、それでも人は生きていく。