【佐々部監督の限界】
佐々部清監督作品。
広島への原爆投下を経験した昭和30年代の家族の暮らし、およびその後関東に居を移した家族の子供たちの世代の物語。
原爆というテーマ自体は目新しくないので、何か独自の視点だとか目新しい材料だとかがあるのかと思ったが、そういうわけでもなく、また家族物語としても筋書きに曖昧なところもあって、イマイチという印象であった。
作中、「原爆は落ちたのではなく落とされたのだ」というセリフも出てくるが、そこで終わってしまっていて、では誰が何のために落としたのか、というふうには展開しない。
佐々部監督の映画はだいたいこういうふうで、詰めが甘いのだが、今作でもその欠点が克服されていないのは残念。