このレビューはネタバレを含みます
2023-269
婚約者と共にデンマークからケニアにやってきた資産家のカレンは、農園でコーヒー栽培を試みる。そんなある日デニスという男と出会い、彼に惹かれていくのだが……。
カレン・ブリクセンが書いた自伝的小説「アフリカの日々(Out if America)」が原作で、実話を元にした作品。1人の強かな女性のアフリカでの物語を描いている。
カレンはデンマークからケニアに移住し、そこでブロルと愛のない結婚をする。酪農をするはずがブロルに勝手にコーヒー栽培に変更されてしまい、そちらに取り組むことになる。そんなある日、ライオンと鉢合わせたカレンはデニスに助けられ、次第に彼に惹かれていく。ブロルは戦争に行っている間に別の女と寝たようで、カレンは梅毒をうつされる。治療のためデンマークに戻り再びアフリカに戻ってきて、その後ブロルとは別居し、本格的にデニスと恋に落ちる。しかしデニスは自由奔放な男で、絶えず旅に出ては家に戻り、またすぐに旅に出る生活だった。カレンは結婚を望んだが自由を重視する彼はそれを拒み、次第に2人の関係は冷めていく。ある日、農園の作業場が全焼して破産してしまい、カレンは従業員の原住民に土地を残してデンマークへ戻ることにする。お互いのことをまだ想っていたがそれぞれの望む方向が違うため別れる決心をし、デニスは最後の日にカレンを飛行機で送り届ける約束をする。しかし、飛行機が墜落し帰らぬ人となってしまう。葬儀を行い、カレンは故郷に帰り、便りで「デニスの墓の周りでオスとメスのライオンがくつろいでいる」と知り、「墓の周りの土がならされたので、上から悠々と獲物を探しているのだろう。デニスが喜びそうだ。デニスに伝えよう」と思いを馳せるが、二度とアフリカには戻らなかった。
3時間くらいあるのでかなり長い。でも、強かに生きるカレンと彼女を囲む人々のドラマを観るのはなぜか苦じゃなかった。
でもカレンのことを全然考えない勝手な夫となかなか別れないところは理解できない。デニスは自由奔放過ぎるところを除けばいい男だが、こちらもカレンの気持ちを考えておらず要は自分勝手。つまるところ、男を見る目がないのでは?とすら思えてくる。だけどデニスはパーティーの時のように誰も言わないことを言ってくれるし、なんだかんだいってもカレンを愛してくれていたので、ブロルなんかより断然良いと思う。というか、ロバート・レッドフォードが演じればどうしても魅力的な男性になってしまう。実際、デニスは魅力的な男性だったんだろうな。
こういう系だと男が死にがちなイメージなのでデニスも死ぬだろうと思ったけど、本当に死んでしまうとやはり悲しいもんで……。
【レースに優勝した君を
私たちは広場で迎えた
大人も子供も歓声を上げ
君を肩に担ぎ上げた
時は若者の上を通り過ぎ
栄光は永くとどまらない
月桂樹のみずみずしい緑は
バラよりも命が短い
はかなき勝者の列に
君が入ることは もはやない
君は人生を駆け抜け
その名を知る者は すでにない
月桂樹の冠をいただいた君を
死者たちが取り囲む
その髪には摘んだばかりの花の冠
はかない花の冠】