ルマンド

愛と哀しみの果てのルマンドのレビュー・感想・評価

愛と哀しみの果て(1985年製作の映画)
3.8
あらゆる側面でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞を獲得したということに驚き。正直、当時の価値観、時代の流れで考えたらそうなんだとも思うけど、これが最高の作品だったとしたら、それが思想的な歴史なんだろうなと思う。それが理解できたことに感謝かな。

逞しくて自由な発想、先鋭的な考え方をもつ、お金もある令嬢カレン。アフリカ、ケニアに渡ってこの時代なら女性がほぼ一人で何もかもやろうとすることに称賛。っていう道筋を狙っているんだろうけど、そこには白人至上主義が透けて、というより当然ながら見えてくる。現地人を当然のように雇い、自分は身分はやっぱり貴族のままだなあ。共に同じラインにたって生活するでもなく、当然のように先住民を従わせている。恋をするのもロバートレッドフォードという超理想的な白人だし、先住民だったらこの話は成り立たないのかもね。とは思った。

この作品が制作されて40年。我々も時代もものすごいスピードで動いてきたんだと思う。だからこそ、いま観ても違和感がたくさんあって、もうこれは歴史を語る映画なんだと思う。

自分が作品の時代の価値観に遡って合わせるというのが本当なのかなと思う。あ、そうだったんだ、当時のハリウッドの考え方、アメリカっていう国、広くもっと言えば世界って。って戻って考えて、そこに架空(リアルだったりもするけど、今の年齢の自分をその場所に置いてみる)の自分を置いてみることで、何か違和感とは全く違う自分の価値観が生まれてきそう。若くて美しいメリル・ストリープ、正直美しさの価値観も変わった気がするけど、本当に美しい人だった、と永遠のイケメン、ロバート・レッドフォードがいて、今の年齢の自分をここに登場させると、自分が違う時代に生きていることが実感できて、作品に入り込める、かも。

ライオンが襲ってきたり、そこはどうやってやったんだ?って思うくらいだから、今みたいに技術もないだろうし、そういう意味では、いまとは全く違う。アフリカの自然も手つかず、雄大。

結局、最後の一文、ずっと考えてるけど、思い出のままにしておいたほうが素敵なのかな。っていうことかね。私はデニスの縛らない、縛られたくないっていう考え方好きだけどね。デニスの時代感覚は先を行き過ぎてたのかな。
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