TaiRa

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のTaiRaのレビュー・感想・評価

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3時間以上掛けて主人公が衰弱していく様を観る変な映画ではある。

三部作の最終作がちゃんと面白かった初めての例かもしれないと考えると、やっぱこのプロジェクトってよく出来てたんだなと思う。初見時はフロドとサムの仲違いを仕向けるゴラムがウザかったなぁ。最も卑しい者への慈悲が結果的に世界を救う鍵になるというのが良く出来てるけどね。基本的にはフロド/サムの友愛に泣く映画。サムがこの物語の主人公たる存在だと思わせる。トールキンが戦時中に失った親友や彼を支えた部下なんかが全て詰まっているから、そういう悲劇から生まれたおとぎ話という側面もちゃんと拾ってる。第一次大戦に従軍した人間が第二次大戦中に書いた小説という点を踏まえてみれば、人類の団結を促す内容も切実さが増す。まぁサウロン側の人間たちは中東系やアジア系を連想させるんだけど。もちろんヨーロッパ史における危機を象徴しているので必然性はあるが。三部作通してニュージーランドの自然スゲえと何度も思わせるが、ゴンドールの狼煙場面が一番凄いかも。個人的には狼煙のシステムを知ったのこれがキッカケ。ゴンドール戦は中世期の戦争再現と悪趣味要素が両立していてピージャク楽しそう。味方の生首投げ込まれたりする描写よく入れるよな。一応ファミリー向け映画なのに。人が高所から落ちる描写も好きでよくやってて楽しそう。オリファントのとこは怪獣映画だしシェロブのとこはホラー映画だし幽霊軍団も出て来るし。まぁ改めてよくこんな大作をギャンブルで作ったなと思う。ピージャクが「LotRの人」になっちゃったのは良かったのか悪かったのか。もう劇映画には興味ないのかな。
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