碧

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還の碧のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アラゴルンたちが決死の攻撃でサウロンの目をそらす中、フロドとサムは倒れそうになりながら滅びの山を登って行く。
フロドは火口に近づくにつれ力を増す指輪のせいで息も絶え絶えになる。
「指輪の重荷を背負ってあげることはできないが、指輪ごとあなたを背負って運びます」と叫びフロドを背負って火口へ向かうサムは凛々しい。

火口に辿り着くと、弱りきったフロドは指輪の強大な力に捕らえられ、火口に投げ捨てず指にはめて我がものとしてしまう。
汚れきっているのに、凄絶な鬼火のようなフロドの表情が美しい。

フロドやサムに追い払われつつも殺されなかったゴラムは最後の襲撃を試みる。
フロドの指ごと食い千切って指輪を奪い、足を踏み外し溶岩の中に落ちる。

もしフロド達が再三裏切ったゴラムを危機に見殺しにし、または怒りにまかせ殺して始末していたら、最後に瀕死のフロドが最大になった指輪の力に負けたとき、結果としてゴラムの手を借り指輪を処分することはできなかった。
力や能力ではなく、哀れみ・慈悲心を持ち続けたことが、サウロンを滅ぼしたと思う。
権力への誘惑がなく慈悲深い、これがフロドが指輪の運び手に選ばれた理由か。


指輪が溶解すると、アラゴルンたちを圧倒していた大地を覆い尽くすモルドール軍は、サウロンの消滅により一気に崩壊する。

荘厳な白亜のミナス・ティリス城でアラゴルンは戴冠し、王妃となるアルウェインはほとばしる初夏の泉の水のように光輝いている。
故郷に帰って行くホビットたち。
長い旅路が終わり結婚し子供ができ幸せになるサム。

傷の癒えないフロドは悲し気な目で仲間達を振り返り、エルフたちと船に乗って旅立って行った。
碧